アルコールより人生を愛そうと思った。(アルコールさんに。自分に)

アルコールはわたしを救った。

アスペルガー傾向を持つわたしの精神は皮なしトマトのように傷つきやすく、落とすと音もなく潰れてしまう。だからなにかが必要だった。

アルコールも麻薬も、甘いものもセックスも、世の痛みから守ってこそくれないが、痛みを感じてないようにしてくれる、大切な『盾』だった。
風がふいても沁みる生傷に『絆創膏』を貼るようにして、アルコールを摂った。

アルコールは『生き延びるための宗教』のごとくわたしに寄り添ってくれたし、突き放すことは一度としてなかった。

アルコールは恋人のように、わたしと会いたがった。できるだけ頻繁に。しかし見返りを求めることは無かった。
アルコールは旧友のように、わたしと会ってくれた。しかしわたしに搾取されるでもなく、明日の仕事の都合も関係なく、会いたいときにはいつでも。

アルコールは、入会金のいらない宗教だった。毎回の手数料を支払えば、恩恵に賜れる神様。宗教アレルギー体質でありながら、宗教の救いを渇望するわたしには、もっとも手軽な信仰だったかもしれない。

わたしはアルコールを愛した。

しかしいま、わたしはアルコールを捨てる。

わたしはアルコールのもたらす安息を貪り、アルコールはわたしの時間を搾取する。思考力と論理力を緩やかに奪い、給料と未来の健康を損なう恐れをはらむ。

わたしはまわりの誰よりもアルコールを愛し、感謝し、頼りにしていたけれど、それを手放す。
愛するアルコールよりももっと重要な『人生』に気がついてしまったから。きっと後悔するけど、戻りはしない。















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